教室に魅力を


魅力を生まない教室!!!


魅力をうしなわせることば
魅力を失わない話し合い
言ってほしくないことば
同じ教材をなぜ二度使わないか

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魅力をうしなわせることば
 先ほどの新聞記事のなかの先生のように、まず説明を
して、「やってごらん」、これでおしまいになるような
行き方は、魅力を生まないと思います。
 教室は、「やってごらん」という場所ではないからで
す。それを自然にやらせてしまう場所だからです。「も
っとよく読んでみなさい」「詳しく読んでごらん」そう
いう場所ではなくて、ついつい詳しく読んでいた――そ
ういう自覚もないぐらいに――詳しく読む必要があるの
でしたら、その場で詳しく読むという経験そのものをさ
せてしまうところです。「読み方が粗い、まだ詳しく読
んでないではないか」そういうことを言う場所ではない。
それでは特に魅力を生まず、ありがたい場所でもない。
それは、おとなに向かって言うことであって、子どもと
いうのは、これからどんなに成長するかわからないので
すが、いまは子どもです。ですから、学習そのものを、
やらせてしまわないとだめだと思います。
「やってごらん」「できたか」これはもう禁句だと思い
ます。やらせてしまわないとすれば、教師の方が怠慢だ
った、教師のいたかいがなかったことになります。「こ
うこうですよ」「やってごらんなさい」「できましたか」
「それじゃ、まだだめですよ」と、そんなことを言うた
めに教師をしているのかと思います。
 そんなことはだれでも言えます。教師はそんなにやさ
しいことをして、そんなに楽をしていては困るわけです。
やらせてしまわなければ、――詳しく読ませる必要があ
れば、その場で詳しく読むという力そのものを、その子
の身につけてしまわなければ、ただ「してごらん」では、
教師の仕事が、あまりに安易すぎると思います。

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魅力を失わない話し合い    
 それから、話し合いのあと、全員が発言しなかったと
いうお小言。こういうのは、非常に魅力がないと思いま
す。普通のクラスみんなで話し合いをしているのでした
ら、クラスのみんなが発言するということは、だいたい、
ないことです。そういうことは、期待してはいけないこ
と。時間的にもむりです。四十人もいる子どもが、ひと
言でも話したら、何分かかるでしょう。そういうことも
忘れて、「発言しなかった人もあるな」といったような、
いやなことを言われることがあります。そして、いっぺ
んに、少しあった魅力さえなくなってしまいます。
 そういうことではなくて、ほんとうに発言が偏って少
なく、多くの子どもが話す内容もなく、したがって意欲
もない、沈滞した空気になったのでしたら、それは、話
し合いの事前の指導の失敗です。あるいは、その話し合
いの準備の時間がはじめからなかったのかもしれません。
 いきいきとした話し合いは、話し合いの事前の指導が
十分あって、みんなが言いたいことを胸にいっぱいもっ
ている、それが発言になる。知らず知らず教師によって
発言を導かれているのです。言うこと、言いたいことが
あれば、とにかく話し合いに三かできます。
 初めから言うことがないのでしたら、元気を出してと
言われても中身がないのですから、どうにもなりません。
何も話す内容のない子どもがいるのに、話し合いの学習
を始めることが、おかしいのではないでしょうか。

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言ってほしくないことば
 次によく使われるのですが、言ってほしくないことば
があります。
 それは、第一に「わかっていることは言えるはずだ」
ということばです。これは励ましのことばかもしれませ
んが、このようなことは、決して言わないようにしたい
ものです。そういうことはないのです。わかることと、
それが表現できることとは、別の力だからです。私自身、
わかっていることが、みんな言えるわけではない。です
から、「わかっていることは言えるはずだ」、そういう
ことは言わないようにしませんと、魅力を作っていくこ
とはできないと思います。
 それから、これも励ますつもりもことばと思いますが、
「努力すれば、どんなことでもできる」という言い方で
す。国語の場合だけではないことになりますけれども、
そういうことはないのです。努力してもできないことは、
山のようにあるのです。そういう言い方、人間というも
の、人生というものを誤解しているような、あるいは、
人間や人生の見方が浅いと言うのでしょうか、真実を知
らないというのでしょうか、そういう言い方をしますと、
人の集まりである教室はは、たちまち魅力を失ってしま
って、単元のすぐれた計画も、そのよさが消えていって
しまいます。ちょっとしたことばの端から、そういうこ
とになるのです。
 それから、恥をかかせないことです。

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同じ教材をなぜ二度使わないか
 人にいやがられるような、叱られるような、いろんな
不始末が、中学生にはあるようです。まことに評判が悪
いのです。私は、そういうニュース、記事を見るたびに、
聞くたびに、悲しく、教室に魅力がないからではないだ
ろうか、何はともあれ、教室に魅力があったら、そこに
理屈を越えて、惹かれるものがあったら、こんなことま
でしなくてもすむのではないだろうか、と思うのです。
 どうぞ、教室に魅力があって、子どもたちが、そこで
優だの劣だのということではなく、その人なりの成長感
に満ちて、それを実感して伸びている、気がついたら望
ましき力が自分にあった、というようにしたいものです。
姿勢がよくならなければいけないのなら、姿勢がよくな
っていた、というところへもっていくのが、教室の魅力
です。そういう成長のあきらかな証拠、そして、それを
ひしひしと子どもたちが実感しているところに、教室の
魅力があると思います。

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