先ほどの新聞記事のなかの先生のように、まず説明を
して、「やってごらん」、これでおしまいになるような
行き方は、魅力を生まないと思います。
教室は、「やってごらん」という場所ではないからで
す。それを自然にやらせてしまう場所だからです。「も
っとよく読んでみなさい」「詳しく読んでごらん」そう
いう場所ではなくて、ついつい詳しく読んでいた――そ
ういう自覚もないぐらいに――詳しく読む必要があるの
でしたら、その場で詳しく読むという経験そのものをさ
せてしまうところです。「読み方が粗い、まだ詳しく読
んでないではないか」そういうことを言う場所ではない。
それでは特に魅力を生まず、ありがたい場所でもない。
それは、おとなに向かって言うことであって、子どもと
いうのは、これからどんなに成長するかわからないので
すが、いまは子どもです。ですから、学習そのものを、
やらせてしまわないとだめだと思います。
「やってごらん」「できたか」これはもう禁句だと思い
ます。やらせてしまわないとすれば、教師の方が怠慢だ
った、教師のいたかいがなかったことになります。「こ
うこうですよ」「やってごらんなさい」「できましたか」
「それじゃ、まだだめですよ」と、そんなことを言うた
めに教師をしているのかと思います。
そんなことはだれでも言えます。教師はそんなにやさ
しいことをして、そんなに楽をしていては困るわけです。
やらせてしまわなければ、――詳しく読ませる必要があ
れば、その場で詳しく読むという力そのものを、その子
の身につけてしまわなければ、ただ「してごらん」では、
教師の仕事が、あまりに安易すぎると思います。
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