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木漏れ日の揺るるがごとく幾すぢも異形の木根を垂らすガジュマル
ロカ岬荒涼として大海は深藍色に空を拒絶す
午前二時車道をつつむ濃き霧に尾灯の赤≠ェ滲みつつ消ゆ
愉しげに白髪婦人食事する、コンビニ前の石に座りて
『あのご婦人、無銭飲食なんです』と、そおっと囁く蕎麦屋の亭主
小づくりで見かけ品良き老婦人、無銭飲食常習者とか
〔一万石の城下町。父のふるさとへ松尾芭蕉の句碑を見に行く。
翁の訪れの記録はないが三基あることが、小さな城下の俳諧人気を偲ばせる。
訪れるも,句碑のない一茶が気の毒である。……
清水寺 観音の甍見やりつ花の雲
金毘羅神社 時雨るるや田のある株のくろむほど
水天宮 あけぼのや二十七夜も三日の月 〕
【清水寺にて】
ゑみ浮かべ和顔愛語と諭したる大き眼の澄みにけるかな
輕らかな木の鳴る音に振り向けば数多の絵馬に春の風吹く
蓮の葉の茎を抱きて座しませる観世音菩薩の静かなる貌
【金毘羅神社にて】
風光る翡翠の色の水の辺に一人一句の古き石ぶみ
バス仕立て寒鮒釣りに来しといふ昔の川に返りにしかは
【水天宮にて】
薄衣の襞とも見えてやはらかく川面うねれり春の日落ちて
緑濃きまろき浮葉の揺れゐたり神影の池の漣の中
文化は、
遊びとして始まるのでもなく、
遊びから始まるのでもない。
遊びの中に始まるのだ。
J・ホイジンガ 『ホモ・ルーデンス』
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