姥捨てをした私 Hさん(74歳) ごめんなさいお母さん。 家に帰りたかったでしょうね。寝たきりのお母さんは 痴呆がひどくなり、長い間の看病で弟夫婦もつかれきっ ていました。 「姉さん家庭崩壊だよ」 と電話をもらったとき、私は老人病院に入院させるこ とを決意しました。私も主人と別居中で働かねばならず、 お母さんをひきとれなかったのです。心を鬼にして私の 住む市内の病院へつれてきました。一年余り、パート勤 めの行き帰り病院へ寄るのが唯一のなぐさめでした。 「靴音でお前がわかるよ」と喜んでくれたお母さん。昔 の話をいっぱいしましたね。ほんとうは呆けていなかっ たのでしょう。 最後は自分から食を断って逝きました。こどもに迷惑 をかけたくないと口ぐせのように言っていたお母さん。 こどもの頃「姥捨て山」の話を聞かせてくれましたね。 その「姥捨て」をした私。許して下さい。死にざまを教 えてくれたお母さん、もう一度逢いたい。 |
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