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◎ちょっと哀しい話! ……


「素直になれないのではなくて、意識して素直にならな
いのです」という女性がいました。なるほど、演出です
か。そのように言われてみると、ありがちなことです。
「素直だと泣きをみるから……ケース・バイ・ケースで
す」という人もいて、むつかしいのですね――。

■京都誓願寺の門前のホームレスの辞世 ・呉くれぬ憂さ嬉しさも果てぬれば  おなじ裸のものの身にこそ ■寛文12(1672)年4月、京都三条橋の下で20歳余の若さ で自殺した begger woman の辞世 ・ながらえばありつる程の浮世ぞと 思えば残る言の葉もなし ★ムカ〜シの人が遺して逝った辞世、現代人も一生を集 約した辞世を遺して逝ってくれないか。黙って一人で逝 くのは無念じゃないか。 ・無宿3万人自殺5年連続3万人以上            進んでいるね構造改革  拙歌 ・自殺一日87人この数年         せめて辞世遺して逝ってくれ  拙歌
■Alberto Giacometti彫刻のやうな病婦人 眼光炯炯とひたすら歩く 拙歌 アルツハイマー症候群のクランケが施錠で閉鎖されて いる回廊を黙々と歩きつづけている。異様な光景だ。食 欲は旺盛だが消費エネルギーに見合うカロリーが供給さ れるわけではなく、やがて衰弱し歩けなくなってしまう のだろう。   〔ジャコメッティ [Alberto Giacometti] スイスの彫刻家・画家。シュールレアリスムの代表的彫 刻家として活躍。のち細長い彫像による独特な空間を作 り、現代彫刻に強い影響を与えた。(1901-1966)〕
■春浅き夜更けに焼けたる四軒店 うち三軒は知合ひなりき 拙歌  特注の糠漬を頼んだ八百屋さん、その近所へ行けば必 ず上り框でビールを飲みながらお喋りを愉しんだお酒屋 さん、 お爺ちゃまの戦争体験をまとめさせていただいた種苗屋 さん、直接は拘りのなかった帽子屋さん、の4軒が全焼 してしまったのです。  お気の毒過ぎてお見舞に行けません。旧中山道沿いで すから周辺はさぞ大変だったでしょう。一日も早い復旧 をお祈りしています。
  古新聞!   おやここにおれの歌の事を賞めて書いてあり、   二三行なれど。              〔石川啄木『悲しき玩具』〕  石川さんは自意識が強く「誉められたい」「認められ たい」願望が強烈です、希いが叶うならば「二三行」の 評言でも嬉しい。……わかります。けれど、それを歌に して人に見せる営為がそうした機会の少ないことを象徴 し、なんとも哀しいですね。   非凡なる人のごとくにふるまへる   後のさびしさは   何にかたぐへむ             〔石川啄木『一握の砂』〕 「後のさびしさ」を感じているかどうか定かではありま せんが……こうしたシーンは一人石川さんだけではなく、 よく見かけることです。実にお気の毒としか言いようが ございません。
■日本にもセックス・ヘルパー欲しいとぞ そぉっと囁く障害者女性 拙歌 日々の生活に必要な食品などの購入を頼んでいる、ご 近所の男性に「これで私を抱いてほしいの」と300万 円入りの紙包みを手わたした高齢の女性がいたと聞きま した。日ごろ親切な人もこの願いにはビックリするしか なく願望を叶えてあげられずリークするしかなかったの でしょうが、ちょっと哀しい情報でした。  日本では個人的な善意で男性障害者のセックスの欲情 を満足させてあげる優しいナースさんやヘルパーさんが 稀におられるそうですが「障害者のくせに〜〜」という 反応が一般的でしょう、高齢者であれば「年齢甲斐もな く」とかの紋切型の表現で決め付けられるのがおちでし ょう。  上の私の歌は障害者女性の「セックスされたい」願望 を題材にしたものですが、この女性は北欧の国では20 数年前からセックス・ヘルパーの制度が整備されている のを知っておられるのでしょう。高齢者だから障害者だ からという理由でセックス願望が叶えられないのは哀し いことです。  ただ、高齢者や障害者の女性から「お願いHして!」 って言われたら、わたしは男性として迷ってしまいます。 いまのところ親族が仲介してというケースはないでしょ うから……善意であっても、もし満足させてあげられな かったら、腹癒せから「性的虐待!」って告発されてし まう可能性がなきにしもあらずで、女性のセックス処理 は微妙なところがありそうです。  ■『福祉施設は虐めの温床です』          耳の後ろで囁く声す  拙歌  20〜30%の施設で、背信(不正)やabuse があり性 的虐待もあるそうですが、取材は困難です。
■「内儀さんが膠原病で兄嫁も…」             涙乾かぬ友と酌む宵 拙歌  ※膠原病; collagen disease ; connective tissue disease  旅行から帰り新婚生活をはじめた知人の新婦は貰いの 交通事故に遭い骨盤を損傷してしまった。気の毒におも っていたがそのショックから立ち直ったのか妊娠の便り が届き、事故の後遺症は大したことがなくてよかったと、 ホッとしていましたが、可哀相にまもなく流産してしま いました。  翌年、妊娠の知らせが届き、今度こそと安産を祈った のですが、またも流産し、不幸なことに膠原病になって しまいました。不運を呪ったのですが、なんと時を待た ずに彼の実兄の奥さんも膠原病になってしまったのでし た。
■「アンタとでなければもっと良かった」           遠く見る目で妻へひと言 拙歌  博識の老編集者は私の前で、居合せた奥さんへ嫌味を 言ったのだった。「キミと暮らせてハッピーだったよ」 というパラドクスなのか、本音なのか判然としなかった。
■そのかみの金の卵は人知れず         餓へて逝きにき花いちもんめ 拙歌  集団就職で秋田から上京してきた彼は職業を転々とし ながらも定時制高校を卒業した努力家だ。大型自動車運 転免許・牽引免許・自動車整備士免状・危険物取扱者な どの資 格を取得し、歴史には実に詳しく「博士」と呼 ばれていた。  リストラまがいの苛めにあい離職した彼は1年余り卓 球などをたのしんでいて職を探すふうではなかった。通 りなどで姿を見かけた人が少なくなかったが姿を見ない という話がでてまもなく訃報がとどいた。アパートの自 室で安らかな表情であったという。枕もとには20万円 余の現金の入った財布と所有車のキーがあり、白塗りの 3ナンバーの車の中には墓所の権利書と残高600万円 余の貯金通帳があった。  幼少時に両親を亡くしており、葬儀は姉と姉婿が新潟 から、双子の弟が横浜から来て執りおこなった。  享年48。独身だった――。
■近所の特養≠ナは人数分の食材を用意しないで刻み 料理で量を誤魔化すなどの手口で食費を切り詰め、利 益≠生み出している。そこの厨房で働いていた知り合 いはその背信的行為に耐えられなくて退職した。この事 実を私は地方新聞に投稿したが動きはない。 老人介護施設の食事は、その人に必要なカロリーではなく 一律であることが多い、これは背信ではないものの大いな る虐待ではないか。
■鋭(と)く光る眼を微笑みに隠しつつ 義母を不潔に食は与へず 拙歌 嫁と姑の関係では姑が要介護の状態になったとき嫁が 積年の恨み辛みをはらす好機なのですね。餓死させない 程度に食を削る……残酷です。  ある奥さんは美人で知られていたのですが、結婚して まもないころ「出て行け!」と言われたとして脳血栓で 倒れた姑さんの介護を拒否、ン十年前のことを許せない のですね。心は美人ではなかったことになりますね。
■事故といふ友に魅せられ誘はれ          不義の夫を逝かしめにけり 拙歌  アチコチに子どもをつくってきた旦那さんが生活習慣 病で要介護の状態になったとき「めんどうみたくない」 って言ってきた奥さん、お気の毒なお身の上ですが私は 「復讐のチャンスがきましたね」とは言えず「恨みはあ るでしょうが、あふれる愛で介護してあげてくださいね」 と言いました。(私も)残酷かな。 ■美しく死ねるといいのですが介護が必要になった「老 い」は、なんと残酷なのでしょう。長い年月をかけて人 間関係を濃密にしておかないと……

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