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女の器量はことばしだい


草書のよさも、楷書から!!!


   「話し上手」は「聞き上手」


「話し上手は聞き上手」とよくいいますが、話し上手と
いうより、「話しまくり上手」という感じの先輩アナウ
ンサーによれば、この言葉は、つい最近のものらしい、
どの辞書にも出ていない、出ているのは「話し上手の聞
き上手」、あるいは「聞き上手の話し上手」である、と
いうことでした。なるほど、先輩はこちらの質問はおろ
か、あいづちも打たせてくれませんでしたが、とかく「
話し上手」な人は、他人の話を聞くのが苦手のようです。
 でも、昭和三十七年に第一版が出されたある辞書のな
かには、「話し上手は聞き上手」と出ており、「自分で
話すことの上手な人は、とかく人の話を聞くのが下手な
ものだが、それはまだ本当の話し上手ではない。本当に
座談のうまい人は、自分も話して、人に耳を傾けさせる
が、人にも十分話させて、それにも耳を傾ける。自分の
話すことを、人によく聞かせる方法を会得するには、ど
うしても聞くほうの身になってみなければいけない」(
『暮らしの中のことわざ辞典』集英社刊)とあります。
 そういえばよく夜の巷のカラオケバーなどで、一度マ
イクを握ったら、死んでも離さない人がいるようです。
人間誰しも自分を主張したい気持ちがありますから、話
すにしても歌うにしても、他人の聞かせたい、という心
理はよくわかります。でも、まわりの人のなかにも歌い
たい人はいるのですから、そちらのほうの身になって、
適当なところでひかないと、それこそ、上手な歌もだん
だん下手に聞こえ、うるさくなり、ついにはただの騒音
になってしまいます。
 こういう方はたいてい「酒」のせいにするようですが、
酒こそ迷惑。たんなる「聞き上手カラオケ版」にすぎま
せん。
 ところで、ずっと以前、さる有名会社の会長さんの書
かれた本を読んでいたところ、お嬢さんかお嫁さんか、
ちょっと忘れましたが、ともかくお腹のなかに赤ちゃん
がいたとき、何ヵ月かの間東北にいた。
 生まれたのは、東京に帰ってきてからだけど、なんと、
その赤ちゃんがしゃべれるようになって話した言葉が東
北弁だった。母親も誰も東北の人ではないし、なんとし
ても不思議なことだが、これはお腹のなかで東北弁を覚
えたとしか思えない、と書いておられました。私もそれ
を読んだときは正直いって「本当かしら」と思ったほど
ですので心に残り、時折思い出していたのですが、先日
総合テレビを見ていて、「あらーッ、やっぱり」と納得
しました。
 誕生前後の赤ちゃんの特集でしたが、お腹のなかにい
る赤ちゃんの耳には、お母さんの声ばかりでなく、お母
さんと話しているお医者さんの声、お父さんの声、お友
達の声などがちゃんと聞こえているというのです。いい
かえれば、赤ちゃんは生まれる前から、声や音によって、
外の世界としっかりつながっているわけです。
 さきの会長さんのお孫さんは、お母さんのお腹の外か
ら聞こえてくる東北弁が、とても気にいっていたのかも
しれません。
 話す、聞く、という点で考えれば、私たちは、生まれ
る前から、「聞く」ことを始めているわけで、話すこと
は、「聞く」ことが基本になっているといえます。
 先輩もしゃべりまくらないでください。あ、私もどこ
かで後輩にいわれているみたいです。
 もちrん、聞いているだけではだめで、話す訓練もま
た必要です。英語のヒアリングがいくら上手になっても、
それが会話力にならないのと同じように。
 最近の若い人たちが、大人の社会での話し方を知らな
いというのも、知らないのではなく、自分で使う機会が
ないからだといえます。敬語にしても、言葉づかいにし
ても、大人が仕事の場でどのように相手と応対している
かは、わかるはずですし、ラジオやテレビからも、そう
いう知識は入ってきます。
 なるべく他人の大人たちと話しあう機会をできるだけ
もつようにし、つねに積極的に人に接していくことで、
ずいぶん違ってきます。
 要は、場数を多くふんで、慣れることでしょうか。

   「岸壁の母」になれなかった私    友人や職場の仲間と仲たがいする原因のひとつに、言 葉がたりなかった、あるいは、こういおうと思ったのに、 相手に違ったふうに受けとられてしまった、というケー スがよくあります。  アナウンサーの仕事でも、こうしたケースはよくあっ て、多くの視聴者の方に、思わぬ誤解をされることがあ ります。

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