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京洛四季 東山夷魁


はじめに


 旅人にとって、めぐりあいこそ幸いであり、いのちで
ある。私は旅人として京都を見た。京都とのめぐりあい
によってこれらの作品は生れた。その時、その場での感
動から、じかに描いたものもある。それを噛みしめて、
構図と色彩を整え、絵にしたものも多い。
 京都の自然ほど、季節の移り変りを敏感に受けとめて、
繊細優雅な美しさを反映するものはあるまい。
 京都の人の生活ほど季節と親しく結びついて営まれて
いる例は少ないと思う。
 それは遠い昔から、日本人のこころの基盤であり、支
えであり、あらわれであった。いまその多くが失われよ
うとしている。
 季節による自然の観照を主にして、旅の上での、眼に
ふれ、心にふれる面白さ、出合いの喜びを基にして、こ
の画集を作った。
 これは京都による私の歳時記である。
 京都の四季を通じて、日本の美を想う私の心の願いで
ある。



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