受身であるよりも能動的である方が癒される場合があ
ります。その一例として表現活動があります。表現には
発想が必須です。豊かな発想を生み出すには、古来いろ
いろな方法が考えだされていますが、ここでは誰にでも
容易にできて、すぐ役に立つ方法を記述してみることに
しました。皆様の、ご参考になれば幸いです。
☆発想を生み出し、考えをまとめる方法:
頭の中で誰もが考えをめぐらせていますが、漠然とし
た「考え」を紙片や、PCに書出し、目に見えるように
するとイメージ・アイデアが、より鮮明に浮かびあがり
ます。お勧めする方法は、一人BS法………
ブレーン・ストーミングを一人でおこなう方法です。
※ブレーン・ストーミングは、アレックス・オズボーン
博士が考案した手法で、1952年にわが国に紹介され
ました。自由な発想を得ることを目的としておこなうこ
とから
〈批判厳禁〉〈発言百発〉〈突飛な意見〉〈便乗歓迎〉
が基本的なルールとなっております。
あらかじめ「テーマ」を知らせておいた方が結果が良い
ようです。考えると疲れますので脳髄の休息時間を採り
いれた方が良いですね。良い発想を得るには、とにもか
くにも 批判しない!!! ことです。
賞賛し合いながら、おこないたいものです。
非難・批判・貶しは簡単にできることですが、殆ど何も
生み出さず、気まずさだけが残るものです。
一人BS法は応用が効き『願望列挙法』『欠点列挙法』
などでも展開できます。方法はいたって簡単です。
たとえば『願望列挙法』では、○○したい。○○がダメ。
というように、○○をできるだけ数多く書き出します。
慣れて参りましたら、
○○を○○したい。
○○の○○がダメ。
というように記述すると、具体的になって参ります。
■アイデアマラソン発想システム(IMS):
誰でも樋口さんの方法と似たようなことをやっている
でしょう……このIMSは
(コーセー化粧品の女性たちの)
小さなノートを常に携帯していて閃いたことをメモする
やり方との併用をお勧めしたいです。
■起承転結による文章構成法はほとんど役に立たない。
これは正解でしょう。最初に結論を書いて次の行から、
その根拠を書き考察・展望を付け加えるレポートの書き
方は「何が言いたいのか」が明快でビジネス文書・エッ
セーなどにも応用できていいでしょう。起承転結の文章
はイライラさせられることが多々あり私は苦手です。
他、ツールは、PCでは
「アウトライン・プロセッサ」がお勧めです。
(フリーソフトがたくさんあります)。
◆アウトライン・プロセッサは :
文章を階層構造で管理するソフトです。論文や報告書、
マニュアルなど、階層構造を持つものであれば、どんな
文章でもアウトライン・プロセッサを活用できる領域に
なります。
使い方には、トップダウン方式とボトムアップ方式が
あります。後者は、まず手持ちの情報を列挙していきま
す。次に互いに関係の深そうな項目を近くに、そうでな
い項目を遠くにと分けていきます。直感に従って項目を
階層構造に分けていきます。試行錯誤で頻繁に項目の移
動を続けていると構造ができてきます。全体の方針が決
まっていない場合には、この方法をとります。
前者は、まず文章を大分類に分け、次に中分類を作成
し、といった具合に、大所高所からまず骨格を作成し、
続いてそれぞれの中身を肉付けしてゆくというやり方で
す。基本的に書くことが決まっている場合の使い方にな
ります。
◆全体の構造を見ながら各要素の内容を参照でき、その
逆も可能で両者を交互に参照できるというのがアウトラ
インプロセッサの特徴と言えるでしょう。
アウトライン・プロセッサ :
わたくしが使わせていただいているフリー・ソフトをご
紹介します。有料のソフトもございますが、お慣れにな
られてからで宜しいでしょう。
『ツリー・バインダー』:
一発メモや、オートバインダー機構
『Story Editor』: 標準的な機能。
『Kcis Writer』: 本をつくるのに最適。
『あうとら』: 軽快です。
『True Story Editor』
『Free Note』: 使いやすいです。
それぞれ特徴があります。試用して皆様のニーズに合っ
たものを選んでご活用くださいませ。
他に、
文字通り「思考支援ソフト」
というものがあります。やはりフリー・ソフトです。
紙に書く場合は、カード式がいいでしょう。事務用品の
ポスト・イットを活用できます。
『願望列挙法』『欠点列挙法』は改善テーマや発明のヒ
ントを生み出すのに役立つのですが、文芸作品つくりに
も役に立ちます。元々は品質管理などの手法ですが、い
ろいろな分野で使える方法です。
他の方法と併せて、ご活用いただければ幸いです。
☆昨今流行っている『自分史』の作成では「思い出列挙
法」が役に立つでしょう。
「自分史作成」のポイントは
『自慢史』にしないことでしょうね。それには、列挙し
た思い出(エピソード)を絞る必要があります。それと
早い時期に年譜か、社会と自分の対比『年表』をつくる
ことも成功の秘訣です。
自分史の書き方を御参照ください。
文章を書くことが好きになるコツとしましては、自分
が得意なことや、好きなことを誰かに教えてあげる感覚
で書いてみます。たとえば料理であれば
「一味違う天麩羅の揚げ方」
「私のカレー・ブレンド法」
などをテーマにすれば、「取材」は既に済んでいるので
すから、あとは解り易く書くだけですね。
失敗談などを交えれば一味違う趣向の説明書になり、
お姑さんとお嫁さんが同じ料理の、「私の方法」を書い
て、互いに食味についての感想を書き合えば俄然オモシ
ロイ内容のエッセーになります。
よく言われている《起承転結》などは無視して、でき
るだけ短いセンテンスで、自分が書きたいことから自由
に書き始めれば良いのです。
この要領で新しい料理についても書き続けてゆけば無
理なく楽しく上達し、やがては「季節の食材」「食の歳
時記」などのテーマに発展してゆくでしょう。
「思考支援ソフト(無償)」KJ法などの:ねこみみ
「自分史作成オートツール(無償)」こちらへ
【研究】その他の、発展的な展開 :
『連関図法』←KJ法。
『系統図法』『マトリックス図法』など、諸種の手法が
あり、文章(作文・随筆・エッセー・論文)つくりや、
改善策の立案に役立ちます。
数値データはグラフにプロットしてみること、言語デー
タは書き出して組み合せることで何かが見えて参ります。
言語データを〈数値化〉することで評価する「多変量解
析」も研究してみる価値があります。
あるファースト・フードのお店では新店舗の立地条件を
計算する多変量解析のソフトを独自に開発おられまして
感心させられました。
以下は、『ツール関連サイト』の一例です。このコンテ
ンツで詳しいご説明は無理なところがございます。他に、
益なサイトが数多くございます。「発想」「品質管理」
などのキー・ワードを入力なされて、検索してみてくだ
さいませ。
そうそう、枕もとに紙と鉛筆を置いておくと何かと宜
しいようです。フラッシュ・メモリーなど録音器などと
の併用をお勧めします。
※私は浮かぶと同時に消失するアイデアが残念でなりま
せん。メモできるものは大した閃きではないからです。
多変量解析ホームページ
数量化理論
新QC七つ道具
智恵/アイデア創生/川喜多二郎氏のKJ法
趣味学道/情報整理学/発想法
■文章作成上の注意点:
センテンスは短くし、主語と述語を近づける。
長い修飾語はさける。
修飾される語に近づける。
代名詞は何を指すかを明確にする。(or 使用を避ける)
語句の省略で文章が不明にならないようにする。
述部「る」「た」「す」の繰り返しを避ける。
自分の感情を素直に表現する。
接続詞「そして」「しかし」「すると」などを使わない。
体言止めは避ける。
点線や実線は二文字分とする。
×私はどうも・・・・・・
×私はどうも…………
○私はどうも……
?や!等の記号の後に文章が続く場合、一文字分の空白
を入れる。
×なんだって?本当なんでしょうね。
○なんだって? 本当なんでしょうね。
☆発想と連想についての俳句結社『銀花俳句会』
(主宰・中原道夫)の説明を記述します。
発想について
今回は、作句する上での発想についてお話しします。
俳句は、季題が持つイメージにつかず離れずのイメージ
を持つ措辞を組み合わせて、作者独自の詩情を表現する
詩です。作句の上では、このつかず離れずというのがた
いへん重要ですが、残念ながら、初心者の方の句を見て
いると季題のイメージに近すぎる措辞を組み合わせてい
る場合が多く、句が連絡報告に終っています。これを防
ぐためには、連想ゲームを自分の頭の中でやってみるの
が一つの方法だと思います。このことを、例を挙げて、
一緒に考えてみましょう。
例として、滝という夏の季題を考えます。初心者の多く
の方は、つぎのように連想されるのではないでしょうか。
滝 → 落ちる → 岩 → 涼しい → 水 → 音
滝 → 山 → 空 → 晴れ
これらの連想は、たいへんわかりやすいです。
したがって、これらの連想される言葉を俳句に使うと失
敗する場合が多いです。それ、「滝」という季語にこれ
らの連想される言葉のイメージが含まれているからです。
ですから、
滝落ちて涼しき音や日本晴れ
滝の水巌(いわお)をけづる響かな
という句は連絡報告に終っている失敗句です。
上のような常識的な発想をしないで、独自の連想をする
ことが作句の上では大切です。例えば、
滝 → 滝壺 → 壺 → 花瓶 → 活け花
という連想はいかがでしょうか。滝はいつも上から下に
落ち、縦方向のイメージがあります。それは、あたかも、
滝壺に滝がいろいろな姿で活けてあるように見えます。
この見方は、上のような常識的な連想にはない、独自な
ものと言えるでしょう。季語から常識的に連想できるも
のはすべて季語に含まれています。それゆえ、常識的な
連想を句に持ち込む必要はなく、ただ、季語を置くだけ
で十分なのです。季語の働きを信じて下さい。活け花の
イメージは、滝の常識的なイメージにはないので、これ
こそ句に持ち込む表現だと言えます。最終的にはつぎの
ような句になりました。
瀧壺に瀧活けてある眺めかな 中原道夫
「瀧」は「滝」と同じです。「眺め」は「ながめ」と読
みます。いままで、滝をこのように詠んだ句があったで
しょうか。「滝」を「生け花」と捉えた作者の発想が斬
新です。
今度は「明易し」という夏の季題を考えてみましょう。
六月の末頃は、一年のうちで一番夜が短いです。夜が短
いので、すぐ朝がやってくるイメージがあります。
「明易し」とは、夜が明けやすいという意味です。同じ
季題に「短夜(みじかよ)」があります。意味は同じで
すが、同じ内容を「明易し」は朝の側から、「短夜」は
夜の側から詠むように使い分けます。夜は一旦、一番短
くなりますが、それが過ぎると今度は日が経つにつれて
夜がだんだん長くなってきます。常識な連想では、
明易し → 夜が一番短い → 六月の末 → 夜の長
さの変わり目 → 夜勤
というイメージが湧いてきます。ですから、
このごろの夜勤は楽や明易し
一年の真只中や明易し
という句は常識的なイメージの範疇から出ていないので、
当然、失敗句です。
そこで、例えば、つぎのように連想をしてみましょう。
明易し → 夜の長さの変わり目 → 変わり目 →
境界 → 地名が変わる
いかがでしょうか。これは、滝の連想に比べて飛躍が少
ないと思います。最終的には地名が変わるということに
なりましたが、例えば、灘の名前が変わる場合を考える
と、はっきりとした境界がないという点が、ゆっくりと
変化するためはっきりと意識されにくい明易しという季
節感に通うものがあります。最終的にはつぎのような句
になりました。
明易し灘の名かはるあたりにて 中原道夫
この微妙な季節感の把握がおわかりいただけるでしょう
か。今回は、発想についてお話しました。季語から常識
的に連想できるものはすべて季語に含まれています。そ
れゆえ、常識的な連想を句に持ち込む必要はなく、ただ、
季語を置くだけで十分であること、常識から離れた独自
の連想を表わす措辞を季語と取り合わせた詩が俳句であ
ること、の二つの点に留意して、すばらしい俳句を作っ
ていきましょう。
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