■俳句の魔力……朝妻 力 ■俳句の魔力……石 寒太 〔アイウエオ順です〕 ■トップページに戻ります |
●定型の力・季語の力・言葉の力 これらに作者の感慨が覆いかぶさったとき、 一読すると忘れがたい句が生まれます。 それが俳句の魔力です。 牡丹散てうちかさなりぬ二三弁 蕪村 五月雨や大河を前に家二軒 同 いくたびも雪の深さを尋ねけり 子規 をととひのへちまの水も取らざりき 同 上げたらきりが無くなりますね……。 メニューへ戻ります |
●俳句は、5・7・5、17音という世界最短 詩型です。散文とは違って、この小さな詩型 の中で、自分を表現するものが俳句です。 小さな詩型だからこそ、1字でまったく内容 が異なってしまう。そこが「俳句の魔力」で しょうか。これは散文ではありえないことで しょう。例えば私の句で恐縮ですが、 ふるさとの框這ひゆく春蚕(はるご)かな という句を、 ふるさとは框(かまち)這ひゆく春蚕かな と推敲しました。 「の」と「は」の、たった1文字の違いです が、「の」とすると、ふるさとの春蚕がこう であった……という説明になります。 「は」とすると、私にとっての<ふるさと> とは<春蚕>なのだ、という強調になります。 「の」を「は」にかえてから、自分で納得し ました。 このように、1字でまったく違う世界になる のが、俳句ならではの特色です。それが大き な魔力です。短い中に、自分の小宇宙を創造 できるのです。 あとは、季語。季語があることによって、作 者と読者がつながります。季語はパワーです。 言葉の魔力です。 メニューへ戻ります |